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腎臓・高血圧内科とは

腎臓は体内の老廃物や余分な水分、電解質を調整する大切な臓器であり、血圧や骨の健康、赤血球産生にも関わっています。高血圧や糖尿病などに伴って腎臓の働きが低下する「慢性腎臓病(CKD)」は、現在7人に1人がかかるといわれる国民病であり、透析や心血管疾患のリスクにも直結します。CKDの進行を防ぐには、蛋白尿·血圧·血糖·塩分の管理が重要です。
当院では、専門医が腎疾患の進行予防だけでなく、将来的な心臓病·脳卒中などの合併症リスクもふまえ、生活背景に合わせた診療を行っています。

腎臓・高血圧内科とは

そもそも腎臓の働きとは?

腎臓は、腹部の背中側に左右一対で位置しています。肋骨の下端あたり、背骨の両脇に位置し、腰の少し上のあたりにあります。左右の腎臓は、わずかに高さが異なり、右側の腎臓は肝臓があるため、左側の腎臓よりも少し低い位置にあります。

腎臓の構造

腎臓は、そら豆のような形をしており、大きさは握りこぶし程度です。腎臓の内部は、大きく分けて以下の3つの部分から構成されています。

  • 皮質:腎臓の外側の部分で、糸球体や尿細管などの腎臓の主要な構造物が集まっています。
  • 髄質:腎臓の内側の部分で、腎錐体と呼ばれる円錐形の構造が並んでいます。腎錐体は、尿を集める役割を担っています。
  • 腎盂:腎臓の中心部にある空洞で、腎臓で生成された尿が集められ、尿管へとつながっています。

腎臓の機能的な単位は、ネフロンと呼ばれます。ネフロンは、糸球体と尿細管から構成されており、腎臓には約100万個のネフロンが存在します。

  • 糸球体:毛細血管が球状に集まったもので、血液をろ過する役割を担っています。
  • 尿細管:糸球体でろ過された液体から、必要な物質を再吸収し、不要な物質を排出する役割を担っています。

腎臓の働き

腎臓は、生命維持に不可欠な様々な働きを担っています。主な働きは以下の通りです。

  • 老廃物の排泄:血液中の老廃物(尿素、クレアチニンなど)をろ過し、尿として体外に排出します。
  • 体液量の調節:体内の水分量を調節し、適切な体液量を維持します。
  • 電解質バランスの調節:ナトリウム、カリウム、カルシウムなどの電解質のバランスを調節し、正常な生理機能を維持します。
  • 血圧の調節:レニンというホルモンを分泌し、血圧を調節します。
  • 造血の促進:エリスロポエチンというホルモンを分泌し、骨髄での赤血球の生成を促進します。
  • 骨の健康維持:ビタミンDを活性化し、カルシウムの吸収を促進することで、骨の健康を維持します。

これらの働きを通じて、腎臓は体内の環境を一定に保ち、生命維持に不可欠な役割を果たしています。

腎臓の主要な機能

腎臓病について

腎臓の機能が低下すると、様々な症状が現れます。腎臓病の主な原因としては、糖尿病、高血圧、糸球体腎炎などが挙げられます。腎臓病の初期段階では、自覚症状がないことが多いため、定期的な健康診断が重要です。

腎臓病の症状としては、以下のようなものがあります。

  • むくみ
  • 高血圧
  • 貧血
  • 尿量の変化
  • 倦怠感
  • 食欲不振

腎臓病が進行すると、透析療法や腎移植が必要になる場合があります。

腎臓病の症状

腎臓を健康に保つために

腎臓を健康に保つためには、以下の点に注意することが重要です。

  • バランスの取れた食事:塩分、タンパク質の過剰摂取を避け、野菜や果物を積極的に摂取しましょう。
  • 適度な運動:肥満を予防し、血圧をコントロールしましょう。
  • 十分な水分補給:適切な水分量を摂取し、脱水を防ぎましょう。
  • 定期的な健康診断:腎臓の状態を定期的にチェックし、早期発見・早期治療に努めましょう。
  • 禁煙:喫煙は腎臓に悪影響を及ぼすため、禁煙しましょう。
  • 適切な血圧管理:高血圧は腎臓病の大きな原因となるため、血圧を適切に管理しましょう。
  • 糖尿病の管理:糖尿病は腎臓病の大きな原因となるため、血糖値を適切に管理しましょう。

腎臓病が進行すると、透析療法や腎移植が必要になる場合があります。

腎臓病の症状

主に診る病気·症状

  • 慢性腎臓病(CKD)、尿異常(蛋白尿・血尿)
  • 高血圧(本態性·二次性)
  • 多発性嚢胞腎、IgA腎症、糸球体腎炎
  • 腎機能低下(eGFR低下、クレアチニン上昇)
  • 腎前性·腎性·腎後性の腎障害
  • 電解質異常(高カリウム、高リン、低ナトリウムなど)
  • むくみ、夜間頻尿
  • 腎代替療法(透析·腎移植)を検討中の方

腎機能低下の分類(原因による3タイプ)

腎機能が低下する原因は以下のように大別されます。

  • 腎前性:脱水・心不全などで腎臓への血流が減少(機能的)
  • 腎性:糸球体腎炎・糖尿病性腎症など、腎臓の組織そのものの障害
  • 腎後性:前立腺肥大・尿路結石など、尿の通り道(排泄経路)の障害

正確な分類が、適切な治療方針を立てるうえで不可欠です。

CKDステージ分類(eGFRと蛋白尿の組み合わせ)

CKD(慢性腎臓病)は、eGFR(推算糸球体濾過量)の値により以下のように分類されます。

ステージ eGFR(mL/min/1.73㎡) 意味
G1 ≧90 正常または高値(ただし異常所見あり)
G2 60~89 軽度低下
G3a 45~59 軽度~中等度低下
G3b 30~44 中等度低下
G4 15~29 高度低下
G5 <15 末期腎不全(透析の検討が必要)

さらに蛋白尿(A1~A3)と組み合わせて、腎機能悪化や心血管リスクを総合的に評価します。

なぜCKDの治療が必要なの?

「慢性腎臓病患者さんでは心筋梗塞や脳卒中の発症リスクが高くなるから」
「透析や腎移植が必要な末期腎不全への進行を防ぐため」
の二つです。

なぜCKDの治療が必要なの?

なぜ心臓血管病が増えるの?

CKDで心臓病や脳血管病が増加する原因として下記のようなことが考えられています。

  • 腎機能低下:腎臓は、体内の老廃物や余分な水分を尿として排泄する役割を担っています。腎機能が低下すると、これらの老廃物が体内に蓄積し、様々な臓器に悪影響を及ぼします。
  • 体液貯留:腎臓が水分を適切に排出できなくなると、体液が過剰に貯留し、心臓に負担をかけ、高血圧や心不全のリスクを高めます。
  • 高血圧:CKD患者の多くは高血圧を合併しており、高血圧は腎機能の悪化を加速させるだけでなく、心血管疾患のリスクも高めます。
  • 貧血:腎臓は、赤血球の産生を促進するエリスロポエチンというホルモンを分泌しています。腎機能が低下すると、エリスロポエチンの産生が低下し、貧血を引き起こします。貧血は、心臓に負担をかけ、心不全のリスクを高めます。
  • 電解質異常:腎臓は、体内の電解質のバランスを調整する役割も担っています。腎機能が低下すると、電解質のバランスが崩れ、高リン血症や低カルシウム血症を引き起こします。これらの電解質異常は、血管石灰化を促進し、動脈硬化のリスクを高めます。
  • 酸化ストレス亢進:CKD患者では、体内の抗酸化物質が減少し、活性酸素種が増加するため、酸化ストレスが増加します。酸化ストレスは、血管内皮細胞を損傷し、内皮機能障害を引き起こします。
  • 炎症亢進:CKD患者では、炎症性サイトカインの産生が増加し、慢性的な炎症状態となります。炎症は、血管内皮細胞を損傷し、内皮機能障害を引き起こします。
  • 血管石灰化:高リン血症や低カルシウム血症などが原因で、血管壁にカルシウムが沈着し、石灰化が進みます。血管石灰化は、血管の柔軟性を失わせ、動脈硬化のリスクを高めます。
  • 内皮機能障害:血管内皮細胞は、血管の収縮や拡張を調節する役割を担っています。酸化ストレスや炎症などにより、内皮細胞の機能が低下すると、血管の収縮や拡張が正常に行われなくなり、動脈硬化のリスクが高まります。
  • 心不全:体液貯留、高血圧、貧血などが原因で、心臓のポンプ機能が低下します。心不全は、呼吸困難や浮腫などの症状を引き起こし、生活の質を著しく低下させます。
  • 動脈硬化:血管石灰化や内皮機能障害などにより、血管壁が硬くなり、弾力性を失います。動脈硬化は、心筋梗塞や脳卒中のリスクを高めます。
  • 心筋梗塞、脳卒中:動脈硬化や血栓形成などにより、心臓や脳への血流が途絶え、心筋梗塞や脳卒中を発症します。これらの疾患は、生命を脅かすだけでなく、重篤な後遺症を残す可能性があります。

つまり、腎臓病をしっかり管理することは、命に係わる心臓病や脳卒中を管理することにつながるのです。また、腎臓病の進行は早く発見し治療や管理を行うことで末期腎不全への進行を防ぐことができるため、生涯ご自分の腎臓のみで生きていくことができるかどうかは早めのケアに係わっているのです。

なぜCKDの治療が必要なの?

高血圧とは

高血圧とは、血管の中を流れる血液の圧力(血圧)が持続的に高くなっている状態です。日本では成人の約2人に1人が高血圧といわれるほど身近な病気で、加齢とともに増加します。

自覚症状がないまま進行し、心臓·脳·腎臓·血管に負担をかけ続けるため、「サイレントキラー」とも呼ばれます。放置すると、心筋梗塞、脳卒中、心不全、慢性腎臓病(CKD)、認知機能の低下など、重大な疾患の原因になります。

高血圧は遺伝や加齢に加え、塩分の摂りすぎ、肥満、運動不足、ストレス、睡眠障害、飲酒などの生活習慣と密接に関連しています。また、比較的若年の方や重症の方では腎臓や内分泌の病気が背景にある「二次性高血圧」も疑います。正確な診断と評価が大切です。

高血圧とは

血圧の正常値とは?

測定状況 正常範囲(目安)
診察室血圧 収縮期血圧(上の血圧) < 140 mmHg、拡張期血圧(下の血圧) < 90 mmHg
家庭血圧 収縮期 < 135 mmHg、拡張期 < 85 mmHg

※ 目標値は、年齢や合併症(糖尿病·腎臓病など)によって異なる場合があります。

家庭血圧と診察室血圧の違い?

血圧は一日の中でも変動が大きく、家庭での測定が診療において非常に重要です。

  • 家庭血圧:朝と夜に測定し、より自然な状態の血圧がわかります
  • 診察室血圧:白衣を見て緊張すると一時的に上がることがあります

日常生活における血圧を正確に把握するため、当院では家庭血圧の記録を推奨しています。

白衣高血圧と仮面高血圧とは?

  • 白衣高血圧:診察室では高いが、家庭では正常。
    → 過剰な治療は避けつつ、動脈硬化のリスクはやや高めとされます。
  • 仮面高血圧:診察室では正常でも、家庭では高い。
    → 気づかれにくく、実はリスクが高いタイプ。見逃さないことが重要です。

これらを見分けるには、家庭血圧や24時間血圧測定(ABPM)が有効です。

当院での高血圧診療の特徴

当院では、血圧の評価にとどまらず、腎機能·尿検査·心電図·血管年齢(CAVI)・腎エコー・INBODYなどを組み合わせ、合併症の予防を重視した診療を行っています。
生活習慣の見直しからお薬の調整、必要に応じて二次性高血圧のスクリーニングや睡眠時無呼吸の評価まで対応可能です。
特に慢性腎臓病(CKD)や糖尿病を合併している方、血圧がなかなか下がらない方、家庭血圧が高めの方には、専門的な管理をおすすめします。

よくあるご質問

鑑別診断についてのよくある質問

Q1. 尿検査で「蛋白尿」と言われました。何が考えられますか?
A. 一時的な脱水や発熱、運動後でも蛋白尿が出ることがありますが、慢性腎炎や糖尿病性腎症などの疾患が隠れている可能性もあります。繰り返しの尿検査や血液検査、腎エコー、尿定量などによる評価が必要です。腎生検が必要な場合、連携施設に速やかに紹介いたします。
Q2. 腎臓の数値(eGFR)が低下しています。原因は何ですか?
A. 腎機能低下は「腎前性」(脱水、心不全など)、「腎性」(腎炎、糖尿病、高血圧など)、「腎後性」(尿路閉塞など)の3つに分類され、治療も異なります。背景にある病気の特定が重要です。
Q3. 高血圧の薬を飲んでいるのに血圧が下がりません。何か病気が隠れている可能性はありますか?
A. 二次性高血圧(腎血管性高血圧、原発性アルドステロン症、睡眠時無呼吸症候群など)の可能性があります。血液検査やホルモン検査、画像検査での精査が必要です。また薬の飲み方や種類が不適切な場合も考えられます。
Q4. 無症状の血尿があります。放置してもよいですか?
A. 無症候性血尿であっても、糸球体腎炎、尿路がん、結石などが隠れている可能性があるため、一度専門医の評価を受けることが望ましいです。
Q5. むくみが続いています。腎臓の病気でしょうか?
A. 腎性(ネフローゼ症候群など)だけでなく、心不全や肝硬変、甲状腺機能異常なども原因となるため、全身状態を見た評価が必要です。

治療についてのよくある質問

Q1. CKDと診断されましたが、薬以外にできることはありますか?
A. 減塩(1日6g未満を目標)、腎機能に合わせたたんぱく質やエネルギーの適正摂取、体重管理、運動習慣の確立、禁煙、十分な睡眠などが進行予防に有効です。当院では腎臓病に対応した栄養指導も実施しています。
Q2. 高血圧の薬は一度始めたら一生飲み続けるのですか?
A. 必ずしもそうではありません。生活習慣の改善や減量により減薬·中止が可能な場合もあります。ただし、無理にやめると脳卒中や腎障害のリスクがあるため、医師の指導のもとで調整を行います。
Q3. 腎機能が悪くなったら透析が必要になりますか?
A. 腎機能がCKDステージ5(eGFR <15)になると透析の適応が検討されますが、年齢や合併症、生活スタイルに応じた選択肢(保存的療法、腹膜透析、血液透析、腎移植)があります。当院では、十分な説明とともに最適な治療方針をご提案します。
Q4. 尿酸値が高いのですが、治療は必要ですか?
A. 高尿酸血症は腎障害だけでなく、動脈硬化や脳心血管疾患、尿路結石のリスクにもつながります。尿酸値や合併症の有無に応じて、食事療法や薬物療法を検討します。
Q5. 腎臓が悪いと市販薬も制限されますか?
A. はい。NSAIDs(ロキソニンなど)や一部の漢方薬、サプリメントなどは腎機能に悪影響を与える可能性があります。自己判断での使用は避け、必ずご相談ください。

予防·予後についてのよくある質問

Q1. CKD(慢性腎臓病)は治せますか?
A. CKDは基本的に「進行を抑える」ことが目標です。早期(ステージ1~2)であれば改善する可能性もありますが、進行すると元に戻すことは困難になります。透析導入を避けるだけでなく、心筋梗塞・脳卒中などの重大な合併症を防ぐためにも、早期発見と治療が重要です。進行を抑えるためには、薬剤の緻密な調整、食事、生活指導が重要です。
Q2. 腎機能を守るために家庭でできることは?
A. 減塩·禁煙·適度な運動·十分な水分摂取·過剰なサプリや薬の使用を避けることなどが基本です。定期的な健診や血圧·体重管理も有効です。
Q3. 高血圧の人は必ず腎臓が悪くなりますか?
A. すべての人に腎障害が起こるわけではありませんが、長期間にわたり高血圧が続くと腎臓に負担がかかります。血圧コントロールが腎臓を守るカギになります。
Q4. 腎臓の悪化を早く見つける方法は?
A. 定期的な尿検査(蛋白尿や血尿)や血液検査(クレアチニン、eGFR)を受けることが重要です。糖尿病や高血圧、家族歴がある方は特に注意が必要です。
Q5. 透析を避けるにはどうすればよいですか?
A. CKDの早期診断と、蛋白尿·血圧·血糖の適切な管理が基本です。継続的な医師のフォロー、栄養指導、薬物調整によって透析の開始を長期間先延ばしできることもあります。

当院で診療していただくことによるメリット

当院では、日本腎臓学会·高血圧学会·透析医学会などに所属する腎臓病·高血圧専門医が在籍し、CKDの初期から進行期、透析導入支援まで幅広く対応しています。患者さんの価値観や生活状況に応じた柔軟な診療を心がけています。
尿検査·血液検査に加え、エコー、CAVI(血管硬化測定)、INBODY(体組成)、ホルター心電図、骨密度、尿定量検査など、多角的な評価を行える検査体制を整えています。腎臓病の管理には薬の調整や栄養管理も不可欠なため、必要に応じて予約制での栄養指導も実施しています。